タナベセラピーとは

重度麻痺手&重度歩行障害に対するCIセラピーの実践から生まれたタナベセラピー

 

 脳卒中片麻痺の機能回復アプローチとして,世界的な知名度と高いエビデンスを有するCIセラピーは,米国バーミンガム・アラバマ大学行動神経科学者,Taub博士が開発しました.

 

 CIセラピーは行動心理学アプローチですが,Taubの下に集まった多数の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・リハ医師達により,アラバマ大学CIセラピー研究チームが立ち上がり,行動心理学アプローチにリハビリテーションテクニックを加えたセラピーへと生まれ変わりました.

 研究チームは,軽症麻痺手に対するCIセラピーを開発し,その大幅な改善成果は世界中を驚かせました.チームは,後に中等度の麻痺手,そして重度の麻痺手へとCIセラピーの適応範囲を拡大しました.しかし,手指が全く開かない最重度のCIセラピー(グレード5CIセラピー)に挑んだものの,機能回復には至らず失敗に終わりました.このグレード5CIセラピーには世界中のセラピストが挑みましたが,いずれも失敗に終わっていました.

 

 最初にグレード5CIセラピーに成功したのは,タナベセラピー研究会代表の田邉浩文博士です.田邉博士は,CIセラピーを開発したアラバマ大学が開催する,成人上肢CIセラピー研修,小児CIセラピー研修,下肢CIセラピー研修,CIセラピー臨床研修を履修し,国内で多数の成人片麻痺,小児片麻痺及び脳性麻痺,歩行障害者にCIセラピーを実践してきました.特に,田邉博士は,重度麻痺手に対するCIセラピーのRCT臨床試験を試み,世界で初めて手指の伸展が困難な麻痺手を,より実用的な補助手に至らせた成功者として注目されました.

 

 田邉博士は,最重度の上肢・手と下肢でもCIセラピートレーニングができるようにするための独自の徒手的テクニックを多数開発し,これをCIセラピーに導入したのです.しかし,この成果に対して世間は,「一般的な麻痺の回復成果からかけ離れ過ぎているこの論文は虚偽だ」などの誹謗中傷を受けたこともありました.田邉博士はこの反響より,むしろ常識からかけ離れた信じがたい成果と認識されていることに喜びを感じたそうです.それならば,「実際の治療場面をセラピストに実視して成果を確認してほしい」と考え,片麻痺当事者とともにタナベセラピー研究会を立ち上げ,多数の当事者デモンストレーションにより治療効果を“見える化”するセミナーを全国で実践してまいりました.

 

 “Seeing is believing” 百聞は一見に如かずです.このセミナーを受講したセラピストは皆,「今まで絶対に回復しないと思っていた身体麻痺は,回復するんだ」と驚き,その日を境に臨床への取り組みも変わっていきました.

 

 当初5名のセラピストと5名の当事者から始めたタナベセラピー研究会でしたが,現在では31回のセミナー開催により,セラピスト1500名,当事者約80名の大きな組織となりました.片麻痺者の65%は重度の麻痺手を呈し,60%以上が人混みの中で歩くことができません.片麻痺者の生活をよりよくすることができるセラピストの育成にタナベセラピー研究会は貢献したいと考えています.

 

タナベセラピー研究会/日本CIセラピー研究会 代表 田邉浩文