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第11回タナベセラピー八ヶ岳合宿セミナー

平成30年8月31日~9月2日の2泊3日の日程で,「第11回タナベセラピー八ヶ岳合宿セミナー」が開催されました.

 

今回の合宿セミナーは,約2か月かけて,田邉浩文先生と一緒に様々な企画を検討させて頂きました.

 

合宿セミナーは特別なセミナーの位置づけで,全国各地で開催されるセミナーで学んだことに,さらに磨きをかけて,知識や技術を高めていきます.

セミナー開始前やセミナー後も,受講生は練習を,サポーターの方々は介入を希望され,多くの時間を楽しみながら,学びの時間と変わっていきます.

 

オープニングでは,今までの合宿セミナーの歴史を田邉先生より動画で披露して頂きました.

北は北海道,南は鹿児島まで,日本全国より,セラピストが集結した研究会となりました.

 

合宿セミナーでは,受講生,サポーターの他に,名古屋工業大学の方々もご参加頂きました.

田邉先生は,工学系とリハビリテーション医療分野を融合させ,ロボット医療分野の研究を行っております.

 

その研究で得られたことなどを,臨床に生かしやすく,技術を日々改良され,合宿セミナーで公開,セラピストの教育を行う場となっています.

 

今回の合宿セミナーは,アシスタントインストラクター(AI)候補生をチームリーダーとして,一般受講生をチームメンバーとしてチーム毎で学んでいく構成としました.

 

各チームリーダーを務めるAI候補生は,複数回の合宿セミナー参加者で,各地で開催されるセミナーにも多く参加しているセラピストです.中にはAI認定取得者もリーダーとして加わり,実践の中で直接指導をさせて頂きます.

 

初めて参加される方は,緊張と不安を感じることがあると思いますが,実際に合宿セミナーに参加されたことがある方は,お分かりの通り,1人の受講生に対し,複数人の指導者が近くにいますので,本当に楽しみながら,しっかりと成果を得られるまで学ぶことができます.

DAY 1 :開会式後は,早速セミナー開始.

 

初めての試みでもあった筋電図を表示しながら,促通による反応を可視化して,受講生やサポーターに見て頂きました.

 

どのようにすれば促通できるのかを,田邉先生より細かく解説を頂きながら確認することができました.

 

その後は,すぐ実践をして頂きました.

初日は,受講生はどうすればいいのか…?,どこをどのようにすればいいのか…?など戸惑っていました.

 

上肢・手指に対する介入も,受講生各自の知識や技術では,上手く介入できない受講生がほとんどでした.目の前で,田邉先生よりデモンストレーションをして頂きましたが,なかなか上手く行えないことを感じられたことだと思います.

 

田邉先生の実践の後に,すぐ受講生が行い,その細かい違いなどを,サポーターより意見を頂くことができます.細かい修正などをすぐに行い,全員の受講生が行うことができるのも,合宿セミナーならではです.

 

DAY 2:いよいよ本格的にセミナーが開始.

 

まずは,AI候補生による「タナベセラピーの概要」についての講義がありました.

「緊張しています…」とAI候補生は話されていましたが,落ち着いて上手に講義ができていました.

脳の可塑的変化を来たすための変化や,徒手的な介入だけでは改善は難しいこと,トップダウンとボトムアップの共存することなどの内容でした.

いよいよ実践の中で,技術の習得を目指します.

 

田邉先生のデモンストレーションをみると,会場内の雰囲気は一変します.

笑顔あり,歓喜あり,驚きありと,様々な感情が飛び交いながら,見学.

 

その後は,各部屋に分かれて,インストラクターやAIの方々の指導の下,全員が実践していきます.

はじめは,上手く触れることができない受講生も,この実践スタイルのセミナーでは,多くの経験を積めるので,ほとんどの受講生は,あっという間に体得されていきました.

午後からは,下肢・歩行編です.

 

OTは上肢,PTは下肢という,不思議な分類があるようですが,タナベセラピーでは生活機能の改善を目指しますので,全てに対して介入し,成果を導き出します.

 

実際の臨床では,あまり歩行はしたことがありません…と話される受講生も多かったですが,実践の中でどんどん体得をしていきます.

 

今回は雨天のため,室内でしたが,本来は屋外,林道など,八ヶ岳の大自然の中を皆さんで歩きます.

上肢・手指,下肢・歩行と1日で習得してきました.初日は,どうやっていいのか分からない…という受講生が多くおられましたが,たくさんの経験をしながら,皆さん,自信をもって介入できるようになっていました.

 

そしてタナベセラピー認定検定試験を開催しました.

検定コースの受講生は,汗だくになりながら,緊張感いっぱいで,一生懸命サポーターさんに向き合っていました.

サポーターさんも,受講生に合格して欲しいという気持ちも高まり,こちらも必死に取り組まれていました.

今回は「ガレー船」形式で,ローテーションをしながら,様々なサポーターさんに対応していきました.

DAY 3:なんとか朝の散歩ができました.

 

天気がよければ,林道まで歩いて富士山に祈願するのですが,今回は曇り-小雨…

少し雨脚が強くなってきたので約30分で終了しました.

 

自由参加にも関わらず,朝7時より多くのサポーターと受講生が集まって頂きました.

 

昨日の歩行のサポートも習得されていましたので,多くの受講生が,どんどん歩行をしていくというスタイルで行えました.

麻痺側で支えながら,効率的な歩行をすることは難しいのですが,サポーターの皆さんは杖なし歩行にて,受講生のサポートで歩かれました.

1日目,2日目を通して体得してきたことを,約40分間,目の前のサポーターの方に対して,必要なことを介入しました.

 

これは通常の臨床と同じ条件です.

セミナーが終わって各受講生が,臨床の現場に戻っても,成果を得られるように,総まとめの時間を作りました.

 

上肢や手指,机上課題をする受講生や,下肢や立ち上がり,歩行を行う受講生など,目に前のサポーターの要望や状況を考慮して実践できていたと思います.

最後は,初日に行った机上課題を用いた上肢・手指への介入を行いました.

 

今回の合宿セミナーを通して,受講生全員の明らかな成長を感じることができました.

どのように介入すればいいのかではなく,もう少しこうした方が,より改善できるなど,目の前の方に適した方法を考えながら介入をされていました.

 

セミナー後は,臨床の場で実践して頂き,また次の合宿セミナーで,さらに臨床力を高めれれるように,皆様とお会いできればと思います.

第11回タナベセラピー八ヶ岳合宿セミナー運営統括 奥田正作・花山友隆