ごあいさつ

 

 

麻痺肢・手が再び動かせるようになる.

そのためには,新しい機能局在部位と既存の連合野とのネットワークを新しく構築しないといけません.

 

そのためには,とりあえず麻痺した肢・手を高頻度に動かさないといけないのですが,問題は,動かしてトレーニングしたくても,ほとんどの人がそもそも動かないのです.

 

別の方法は,脳波を利用してロボットなどで他動的にSMA脳波のタイミングで動かし,自分で動かしているという感覚を入れ,新回路を構築する方法があります.しかし,感覚情報が辺縁系から入力されても,上位動運ニューロンから脊髄に下行する伝導が,ある程度ある人しか効果は期待できないでしょう.

 

メンタルプラクティスという治療方法が,アメリカやその他で盛んに行われています.

動いていることをイメージして回路の再構築を促すというものです.

 

実際に,高頻度に動かすことを追求しないと,先に進まないし治りません.

 

私が今行っているのは,促通をして動き出した手足を実際場面で使えるように,徒手で誘導しながら介入をしていますが,今のところこの方法で成功しています.でも,とても大変だし時間を要します.

 

私は現在,工学研究者とチームを組んでこの治療システムをロボット化しています.もうすぐ結果が出ると思います.将来,このロボットが普及したとしても,所詮は効果的な治療を助けてくれるアシストロボットであり,自己完結トレーニングマシンは,あり得ないと思います.

ですから,今後も,私の徒手によるセラピーをセラピストとサポーター様,そのご家族様に伝え続けようと思っています.

 

タナベセラピー研究会 代表 田邉浩文